猫のルーちゃんとトルコからのキャットフードサンプル①



「ごめんねルーちゃん、もうトルコのごはんは昨日ので終わりなのよ」

エサ皿の前で行儀良く座って私を見つめる黒猫のルーちゃんに私は謝った。

トルコから大きなスーツケースに入れて頑張って運んできた初めてのキャットフードのサンプル袋は、フード置き場にも私の部屋にも1つも残っていなかった。


娘の猫ルーちゃん

ルーちゃん(ルオ♂)は、今も一緒に暮らしている娘が音大2年の時に飼いはじめた保護猫だ。東京で一人暮らしだった娘が、たまに泊まりで数日家を空けなければならない時だけ、私の住む山形のアパートに連れてきていた。来るたび猫っかわいがりする私に対して、居場所が変わるのを嫌う猫にしては、山形に来ることは嫌そうな様子では無かった。


「焔」の制作途中 御影石2トンの作品

山形の大学で、彫刻と勉強と仕事で疲れ切っていたその当時、暖かくてふわふわの物に癒やされたいという気持ちが抑えられなくなり「アパートに猫は飼えないけどウサギなら飼える!」と、ふわふわのライオンラビットのふぅちゃん(フィオナ♀)をホームセンターで見つけて買って帰った。

すっかり家族の一員となったウサギのふぅちゃんのいる山形に、大学の研修で留守番となるルーちゃんがまた娘に連れられて来た。キャリーバッグからご機嫌良く出て、トイレの場所を確認し、一部屋目の偵察を終えた時はまだご機嫌だった。







次の部屋に入った時最初は気づかずニャーと挨拶して奥まで進み、振り向いて固まった「は!」とウサギのゲージに気がついた。

ライオンラビットのふぅちゃん

その後、ルーちゃんは私に対して心を閉ざしてしまい、一緒に住むようになっても娘の部屋から滅多に出る事がなくなり、もともとマーキングをする猫ではあったが、私の部屋が空いているとほんの一瞬でベッドや洋服、スリッパ、枕、鞄などありとあらゆる場所におしっこをするな一緒に暮らすには大変な猫になってしまった。

姿も見せず粗相をしても、猫には猫の感情があるし、ルーの存在を尊重したいと思い、寝ようと思った枕やベッドが被害に遭っても、仕方ないと思っていた。





人間の安全な食を求めてトルコへ

オルドゥ県ファトサ市

もともと私がトルコへ行ったのは、人間の食についての活動のためだった。

ペットフードの安全という考えが浮かんだのは実は比較的最近で、その前に添加物や農薬、遺伝子組み換え、ホルモン剤などについて調べたり、人に聞いたりして自分や家族の食に気を付けていた。ある日ふと「そういえばペットフードってどうなんだろう?」と疑問が浮かんだ。ネットや本などで調べてみたら、それらの一般には知られてはいない情報は私の予想を超えて本当に酷いものだった。人間の食品ですら表示されていない添加物は多く入っているのに、ペットフードは食品では無く単なる飼料、雑貨のカテゴリーであり、ましてや原料の家畜の飼料など配慮されるはずも無く、安全なペットフードなど結局分からないだろう、これは無理だと正直思った。

北海道で飼っていた子猫も山形で飼ったウサギのふぅちゃんも癌で死んでしまった。なぜ癌?医療の発達のせいで死の原因が分かるようになった、と言うことではない気がした。病気になるには原因がある事は人間も一緒、発癌が疑われる物質が入っている食べ物を食べ続ければ結果は自ずと出るはずだ。

自分たちだけ安全な食品を選んでいて、こんなことに気がつかないとは本当に申し訳ない。身体の小さな猫やウサギは人間よりずっと早く影響が出る、しかも自分で食べ物を選ぶことができず、飼い主が与えた物だけでしか身体を作ることができない。


その他の詳しい話はここでは省くが、そんな思いで行った先のトルコで見つけたのがCagatay社のペットフードだった。

トルコの田舎町は裏道に入るとこんな感じ


持ち帰ったペットフードサンプル

トルコからの旅行鞄にパンパンに入っていたサンプルを、今までの活動を支援してくれた方々に分けて送り、残りをルーちゃんに味見してもらおうとまず小袋を出した。

袋を出す前からスーツケースに興味を持ち、いつもは隠れて出てこないルーが興味津々で近くに来ていた。

「ルーちゃんちょっとこれ食べてみてくれない?」と出した袋を開封前からそれ下さいという顔をして、お行儀良く待っていた。

エサ皿に出すと「なんだこれは~~~!!!!こんなもの食べたこと無いぞ!!」といったよう様子でガツガツとあっという間に食べきった。食べ終わっても口元ヒゲや手を舐めまくり、満足しきった様子だった。

今はボナシーボを日本で販売するようになり、色々なお猫様に使って頂いているが、おそらく日本で一番最初に食べたルーちゃんは、日本で一番ボナシーボを喜んだ猫だろうと今でも思っている。


彫刻の間によく挟まっている

いつも娘の部屋から出てこなかったルーちゃんは、その後は私が帰ると「にゃー」と挨拶しながら玄関に迎えに来るようになり、エサ皿の前で待機した。ベッドや椅子、ちょっと置かれている洋服や、洗濯物、書類、鞄、靴などへのおしっこ攻撃もなくなった。

動物にとって食べ物とは、閉じた心を開くほど大切なものだったのかと本当に驚いた。娘は当然ルーちゃんの豹変ぶりに驚いていたが、ルーが私に懐くように、自分は以前から使っていたスーパーで買ったフードを与え、私からCagatay社のペットフードを与えられるようにしていてくれた。

エサ皿の半分に娘が入れた旧来のペットフード、その半分にボナシーボを入れると綺麗に半分だけ残す感じだった。


辛抱強く待つ

しかし持ち帰ったものはいつか無くなるわけで、なるべく少量ずつ、Cagatay社のドッグフードまで混ぜて(Cagatay社から成分バランスは違うけど原材料は同じですと言われたため)あげていたがついにそれも無くなってしまう時がきた。

私が帰ると玄関先でニャーと言う「ごめんねルーちゃん、美味しいトルコのごはんはもうなくなっちゃったのよ」と私は言った。エサ皿の前でまた私の顔を見る「ごめんねルーちゃん、トルコのごはんはないのよ」「トルコのごはん」「トルコの」何日も何日もトルコトルコと言い続けていた。あれだけ言えばルーちゃんはトルコという言葉を覚えているかもしれない。

困った、なんとかルーちゃんの為にトルコのごはんを手に入れなければ!飛行機で少量を送ってもらうことも考えたが、送料がトンデモない事になる、そのうち時間が経てば忘れてくれるかもしれないと思ったが、おせんべい袋、のり袋、ポテトチップスの袋などありとあらゆる袋のパリパリッという音がすると飛んでくるルーちゃんを見て、私は本気で困ってしまった。

困り果て、トルコから空輸ということを考えていた時「あれ?他の国の高級フードがあるじゃない」と思い付いた。すぐに思い付かないのがおかしな話で、まったく呆けたものだと思いペットショップのフードコーナーに行き、無添加で良さそうな、いわゆる有名なフードから驚くほど高いものなど色々なフードを買い漁った。

その時はもう安全とは思えないフードを食べさせる気がしなくなっていたので、値段を考えずに「これは仕事だから贅沢じゃ無いの」と自分に言い聞かせ、我が家の経済状態に比べるとかなりお高いフードを様々試すことになった。

結果、良さそうなことがたくさん書かれているが食べないものもあるなど、色々と勉強になった。


Cagatay社からは「原材料の良さは動物が一番分かるのです、食べさせればそれが分かります」と言われていたので、香料や添加物で食いつきを誘導していないものは、原材料が良ければ食いつきがいいと思っていたが、なぜこんな高いフードを全然食べないのだろうか?値段ってなんだろう?という疑問を持った。


続く


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